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ニート系大学院生の書評

研究論文より本ばかり読んでいるニート系大学院生が、ジャンル問わずおすすめの本を紹介していきます。感想も書きます。

竹宮ゆゆこ『砕け散るところを見せてあげる』 ラノベ出身作家の真骨頂

皆さんこんにちは!

ta-sugi-naことたーすぎと申します。ほぼそのままですね。

現在暇なニート系大学院生をしており、本ばっかり読んでます。

 

人に貸した本を「面白かった」と言われるのが楽しくなってきたので、是非皆様にも「面白い」「役に立った」と感じていただければ幸いです。

感想もシェアしたいので書いていきますが、ネタバレはしません。

 

それでは、さっそく本の紹介をしていきたいと思います!!

 

今日紹介するのは、竹宮ゆゆこ先生の『砕け散るところを見せてあげる』です。

ご存知の方もいらっしゃるように、とらドラ!』『ゴールデンタイム』といった超名作アニメの原作者ですね。(ちなむとリンダ推しです)

 

今回は、ラノベレーベルではなく新潮社からの出版となってます。

 

気になる内容は、高校でいじめられており、謎の多い家庭環境を持つ少女を普通の高校生が助けようと奮闘する、というお話です。

 

うげぇ……なんだか重そうやん……。と思った方もいらっしゃるかもしれません。

暗いシーンとかって、読んでるだけで辛くて中々ページをめくれないこともありますよね、、

 

しかし心配はいりません!

ラノベ作品に多くみられるユーモア溢れた文体のおかげで悲壮感が漂いすぎることなく先に読み進めることができます。

また、主人公である濱田清澄くんはとてもいいやつですが、特に優れた取り柄は持っておりません。

そうした主人公が一生懸命頑張る姿につられてこちらも前へ前へとページを進めてしまいます。

 

それでもたしかに、少女の謎が徐々に明らかになっていくたび、悲痛な思いが胸を打ちます。

うぅ……かわいそすぎる。も、もう読み進められないーーー、と感じる直前!!

 

クスリと笑える文章があらわれ、私達の心のHPを回復させてくれます。

 

これをテレビ番組などで考えてみてください。

政治家の方々がものすごく丁寧な言葉で、一生懸命問題を指摘しているとします。

勿論しっかりしたことを言っている場合がほとんどだと思いますが、正直そうした話を真面目に聞く人は少数だと感じます。なんなら「こいつちょっとイラッとするな」くらいの印象を持つかもしれません。

 

でも、同じようなことをマツコ・デラックスさんや、有吉弘行さん達が言っていたら?

そもそも話に笑えるところがあるから長時間聞いていても苦にならないし、なんだかものすごく正しいことを言われた気がして納得してしまう。

そいうことは僕以外の方にもあると思います。

 

この本は、ゆうなれば小説版マツコ・デラックスくらいの面白さと、説得力があります。

 

難しい議論なんて興味ない。

かといってただ面白いだけの本を読んでも、読了後になんだか寂しい気持ちになる。

そんなときには、迷わずこの本でしょう。

 

面白いから簡単に読みきってしまう。

でも、難しいトピックも扱っているから「めっちゃ面白かった」だけで終わらず、なんだか少し、自分が良い奴になれた気がする。

そんな二つの効用が得られるとってもお得な本です!

 

文体が会話のように軽いという特性を活かし、シリアスな話をライトに描き切った、ラノベ作家の新たな形!

個人的には、ラノベ出身の方がこうした作品を描いたことも興味深いです。

 

被爆した広島を描いた『はだしのゲン』のように、向き合うべき問題とストーリーをコラボさせた作品はありました。

 

しかし、ユーモアをたやすことなく、難しい問題を描き切っているという点でこの作品は新しいと言えます。

そのおかげで凄惨なシーンなどを挟んでも最後まで読むことができます。

 

でも、ユーモアを入れることで、本質からかけはなれたことが表現されのでは?

 

そう主張する方もいらっしゃると思いますし、その意見自体は僕も賛成です。

しかし、いきなり真正面から現実の問題と向き合うのはとてもハードルが高いです。

それができる英雄みたいな人もいるとは思いますが、それは少数で、大抵の人はできないと思います。

一段目の段差が高すぎる階段は、問題の解決というゴールまで登れる人はいません。

最終的にめちゃくちゃがんばる濱田清澄も、隠された上履きをこっそり拾っておいてあげるという小さなことから始めるのです。

こうした作品が出て行くことで、段差が細かくなり、やがて誰もが難しい問題からと向き合って生きていけるようになるのではないでしょうか?

まとめ

今回したのは、目をそむけたくなるような難しい問題を、ちらっと横目でみて、ほんちょっとだけ立ち向かう勇気をくれる。

それでいてエンターテインメント性に溢れた素晴らしい本です!

 

参考になっていれば幸いです。