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ニート系大学院生の書評

研究論文より本ばかり読んでいるニート系大学院生が、ジャンル問わずおすすめの本を紹介していきます。感想も書きます。

朝井リョウ『ままならないから私とあなた』 効率か人間性か

こんにちは!たーすぎです!

 

昨日は朝井リョウ先生の『レンタル彼女』を紹介しましたが、今日は表題タイトルにもなっている『ままならないから私とあなた』をさっそくですが紹介いたします!

 

機械か人間か

メインの登場人物は、

  • 幼少期から効率を重視し、その特性を活かし発明家として成長していく
  • 一見無駄に思えることの温かさを大事にしながら生きる、主人公ユッコ

の二人です。

 

お互いの考えに少しずつ疑問を持ちながら、小学生から大学院卒業の年までの成長過程を描いていきます。

まさに、AIなどの発展によって”人間らしさ”が失われてしまうのでは?

という議論が活発になってきた現代を描いているとも言えますね。

 

理工系院生の端くれとして、AIと人間、みたいなテーマはかなり長く語れてしまう部分はあるのですが、それよりも一番良いと感じたところを紹介したいと思います。

 

人の感情まで効率化しようとする薫が、ユッコに対して

「好きってどんな感じ?」

的なことを聞きます。

それに対するユッコの返答が僕はとても良いと感じたので、こういうちょっとむず痒くなるようなやり取りが好きな方は、是非読んでみてください!

 

題材にテクノロジー要素が入っていても、心の底から湧き出てしまう、純粋な感情をそのまま文章に著せるのがやっぱり朝井リョウ先生の良さが出ている作品だと思います!

 

感想&まとめ(ネタバレなし)

 

魔法少女リリカルなのはA’s』というアニメで、主人公高町なのはがこう言っています。

「永遠なんて、ないよ。みんな変わってく、変わっていかなきゃ、いけないんだ」

結局これにつきるんだと思います。

 

じゃあ、自分ががんばってきたことが機械で代用できるようになったら、今までやってきたことは意味がなくなるのか?

これはそういうことでもないと思います。

 

アメトークの読書芸人でも紹介された、平野敬一郎先生の『マチネの終わりに』(毎日新聞出版)にこういうセリフがあります。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える」

 

つまり、もしその時点で悔やんでも、その後何かを成し遂げれば、

「ああ、あのときがんばったのは無駄じゃなかったなあ」

と思えるでしょう。

 

たぶん、朝井リョウ先生的には

「何でもかんでもできるようになっちゃうのは違くね?」

的なことが言いたかったんだと思いますが、機械で何かができるようになっても、たぶん新たなできないことが出てくるので、そしたら切り替えて新たなことを頑張るしかないんだと思います。

 

全部まとめると、

時代に合わせて変わり続けていかなければいけない。

その過程で努力が無駄になるタイミングが何回もあるかもしれない。

でも、最終的になにかを達成できたとき、

今までやってきたこと全てを肯定することができる。

ということだと思います。

 

この物語は二人が24歳くらいで終わってしまい、ユッコはこれからも自分の努力が色々データ化されてしまうことに戸惑うと思いますが、何かが上手くいったときに、昔の自分も肯定できると思います。

 

感想が多めになってしまい恐縮ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます!

 『マチネの終わりに』も面白いので、ご参考までに是非!